パーキンソン病外来について
パーキンソン病の患者数は、社会の高齢化や診断技術の進展により、増加傾向にあります。パーキンソン病の有病率は、人口10万人あたり約120人程度といわれ、患者数は全国で12万人~15万人近くにのぼるといわれています。パーキンソン病は珍しい病気ではなくなっているといえます。
パーキンソン病とは
主に40歳から50歳以降に発症し、ゆっくりと進行する原因不明の神経変性疾患です。神経伝達物質の一つであるドーパミンが減少する事で起こると考えられています。パーキンソン病は50歳、60歳代で発病することが多いのですが、70歳代以上の高齢で発病する方も稀ではありません。また、時には40歳前に発病する方もいます。一般的には遺伝する病気とは考えられていませんが、年齢の若い段階で発病した方の中には、遺伝子の異常がある方がいる事が解ってきています。高齢化社会を迎えるにあたって、今後ますます患者数は増えると予想されています。
認知症を伴うパーキンソン病(PDD)
パーキンソン病の経過中に認知症が現れる割合は、診断後12年で60%、20年で80%に達するとされています。パーキンソン病における認知症発症リスクは健常成人の6倍との報告もあり、また、認知症発症後は罹病期間や発症年齢にかかわらず平均余命が3年程度であると報告されています。認知症発症予測因子に、高齢・高齢発症・運動障害が強いこと・抑うつ症状などに加え、最近では重度嗅覚障害が重要な予測因子に加えられました。
パーキンソン病の原因
パーキンソン病の原因となるのは、脳の「黒質」という部位に存在するドーパミン分泌細胞の変異です。この細胞が分泌するドーパミンは神経伝達物質のひとつで、「幸福ホルモン」とも呼ばれます。ドーパミンは、幸福感をもたらすだけでなく運動能力にも影響する効果があります。ドーパミンが分泌不足になると、神経から発せられる筋肉を動かすための指令が伝達されにくくなり、パーキンソン病の原因となるのです。
パーキンソン病の症状
パーキンソン病の症状には、「動きが緩慢である」「筋肉が強張っている」「手足に震えが見られる」「歩き出そうとすると転ぶことがある」などの運動障害があります。これらは筋力そのものではなく、神経の伝達能力そのものが低下することで発生する症状です。また、ドーパミンの分泌不足は精神的な影響を及ぼします。精神的な症状としては意欲の低下やうつ症状、感情の起伏が鈍化するなどが見られます。
-こんな症状に注意-
○ 手足がふるえるたり、しびれたりする。
○ 力がはいらなく、疲れやすい。
○ 動きが悪くなり、つまずきやすく、転んだりする。
○ 姿勢が悪くなり、座っていても身体が傾くようになる。
○ 人と会うなど、外出することが嫌になる。
○ 表情が無くなり、よだれが多くなる。
○ 声がふるえ、声が小さくなったり、でなくなる。
パーキンソン病の非運動症状について
パーキンソン病は運動障害を特徴とする病気ですが、それ以外にもさまざまな症状(非運動症状)が少なくありません。非運動症状には、自律神経症状・精神症状・睡眠障害・感覚障害などがあります。
-自律神経症状-
○ 便秘、排尿障害
○ めまい、低血圧、起立性低血圧
○ よだれ、下障害
○ 発汗障害、あぶら顔
○ 冷え、むくみ
○ 性機能障害
-精神症状-
○ うつ状態、不安、無関心
○ 幻視
○ 妄想、興奮、錯乱
-睡眠障害-
○ 不眠
○ 日中の傾眠、過眠
○ レム睡眠行動障害
-感覚障害-
○ 頭が重い
○ 手足のしびれ、痛みなど
パーキンソンの有用な診断法について
パーキンソン病の有用な検査方法として、ドパミントランポーターシンチグラフィ検査、MIBG心筋シンチグラフィ検査、臭覚テストが挙げられます。
-ドパミントランポーターシンチグラフィ検査-
ドパミントランスポーターシンチグラフィとは、脳内の黒質から線条体に向かう神経経路(ドパミン神経)に存在するドパミントランスポーターを画像化し、ドパミン神経の変性・脱落の程度を評価する検査です。従来のCTやMRIでは分からなかった、ドパミン神経の減少、変性等を捉えることができます。
-MIBG心筋シンチグラフィ検査-
MIBG心筋シンチグラフィは、心臓を支配している交感神経(心臓交感神経)の状態を診る検査です。交感神経節後線維である心臓交感神経の障害を判定できることから、各種心疾患に伴う局所交感神経障害、神経変性疾患に伴う自律神経障害などの評価に用いられています。
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